暴力的紛争はますます複雑化しており、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す2030年までに、世界各地で貧困に苦しむ人々の半数が紛争をはじめ様々な形での暴力の影響を受ける国々に居住するようになると推測されています。加えて、情報コミュニケーション技術の発達、人口移動、気候変動などがリスクをさらに高めており、各国および国際的な取り組みが必要とされています。こうした中で、国連と世界銀行グループでは、暴力的紛争の予防に対して国際的な関心を高めるべきとの観点から共同研究を実施し、暴力的紛争の予防に対する取り組みの拡大により毎年50億ドルから700億ドルのコストを抑え、これらを貧困撲滅と貧困に苦しむ人々の生活の改善に再投資することができると指摘する報告書「平和への道:暴力的紛争の予防のための包摂的アプローチ」(Pathways for Peace : Inclusive Approaches to Preventing Violent Conflict)を発表しました。
今回のモーニングセミナー(第12回)では、同報告書の執筆チームを率いたアレクサンドル・マルク世界銀行紛争・暴力グループ チーフ・テクニカル・スペシャリストがワシントンよりテレビ会議で同報告書の主なポイントをご紹介し、皆様からのご質問にお答えしました。
スピーカー
20年以上にわたり中東・北アフリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、東アジアの各地域における紛争・暴力に関係する分野に従事してきた。世界銀行では、2009年から2012年まで、社会的結合・暴力予防チームを率い、それ以前はヨーロッパ・中央アジア地域総局社会開発セクター担当マネージャーとして、東ヨーロッパの紛争後復興プログラムを統括。ロマの子供たちの教育への包摂を支援するロマ教育基金(ブダペスト)のディレクターも務めた。世界銀行入行以前は、オックスフォード大学セントアントニー校およびSociété de’Êtudes et Économiques et Socialesにおいてアフリカに関する研究およびコンサルティングに従事。2005年、パリ国際学研究センター(CERI)客員フェローとして、文化アイデンティティとマイノリティに関する研究に従事。 |
当日の資料: PATHWAYS FOR PEACE : Inclusive Approaches to Preventing Violent Conflict (PDF)
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