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将来起こり得る災害への備え:アルメニア、キルギス、タジキスタンにおける防災 / イメージ:GSHAP
第13回防災セミナー「将来起こり得る災害への備え:アルメニア、キルギス、タジキスタンにおける防災」
2016年9月7日東京


防災セミナーシリーズ:世界銀行東京事務所、世界銀行東京防災ハブ 共催

ヨーロッパ・中央アジア地域の国々は、様々な自然災害の脅威にさらされています。過去30年間に発生した災害による被害は、洪水と地震だけでも、5万人の命を奪い、2,500万人が被災し、800億ドルに上る損害をもたらしています。アルメニア共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国が抱える災害の特性や脆弱性はそれぞれ異なるものの、3カ国は共通して、高い地震リスクという共通の課題を抱えています。

2015年10月に世界銀行が開催した中央アジア地震リスク軽減フォーラムでは、中央アジアの政策決定者などが他国の経験を学ぶとともに、将来の地震リスクへの備えを高める上でのニーズや課題について議論しました。これを踏まえ、世界銀行は、アルメニア共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国の3カ国において、繰り返し発生する自然災害へ備えるため多方面での支援を行っています。日本‐世界銀行防災共同プログラムは、地震リスク評価、防災関連組織の能力強化など、一連の強靭性向上のための活動を支援しています。

当該3カ国の政府代表団の来日にあたり、本セミナーでは各国代表者が日本での視察を通して得た知見と、それらを自国で活用するための方向性をご紹介します。

 

プログラム

開会挨拶

塚越 保祐
世界銀行グループ 駐日特別代表

講演

竹内 航
世界銀行 社会・都市・農村開発・強靭性グローバルプラクティス ヨーロッパ・中央アジア地域担当 防災専門官
「将来起こり得る災害への備え:アルメニア共和国、キルギス共和国、タジキスタン共和国における防災」PDF (日本語)

ホヴハネス・カンジェルディアン
アルメニア共和国 非常事態省 救助庁 危機管理センター 所長
「アルメニアにおける地震リスク評価」PDF (英語) | PDF (ロシア語)

アザマット・マムベトブ
キルギス共和国 非常事態省 危機管理センター 副所長
「キルギス共和国における災害リスクの軽減」PDF (英語) | PDF (ロシア語)

ムハマジョン・サリムゾダ
タジキスタン共和国 非常事態・国防委員会 副委員長
「日本の優れた防災の知見に学ぶ:タジキスタンにおける活用」PDF (英語) | PDF (ロシア語)

コメンテーター

佐谷 説子
内閣府 政策統括官 (防災担当) 付 参事官 (普及啓発・連携担当)

モデレーター

金田 恵子
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 東京防災ハブ 防災専門官

 

(敬称略)

❖ このセミナーは公開用に録画されます。

❖ 当日、セミナーをライブ配信します。こちらのリンクからご覧ください。

スピーカー紹介

セミナー報告

 

Image塚越 保祐
世界銀行グループ 駐日特別代表

2013年8月現職に就任。日本の政府、CSO、企業、研究機関等と世界銀行との協力関係強化を使命とする。就任以来、世界銀行東京事務所内に設置された東京防災ハブの設立にも参画。現職就任前、2008年から2011年には米州開発銀行理事として同行の融資案件の審議と政策決定に関与。1988年から1991年にはアフリカ開発銀行理事としてコートジボワールに駐在。また、1994年から1998年には国際金融情報センター・ワシントン事務所長として米国の政策決定過程等につき調査。1980年4月大蔵省 (現:財務省) に入省。

 

Image竹内 航
世界銀行 社会・都市・農村開発・強靭性グローバルプラクティス ヨーロッパ・中央アジア地域担当 防災専門官

世界銀行 ヨーロッパ・中央アジア地域の防災専門官として、アルメニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンにおける災害リスク管理を主導。2013年、世界銀行入行。入行前は、国連人間居住計画 (UN-Habitat) のシティ・レジリエンス・プログラムに従事。また、国際協力機構 (JICA) 派遣専門家および国際コンサルタントとして、バングラデシュ、パキスタン、リベリア、ソロモン諸島の都市開発および災害リスク管理を担当。都市開発プロジェクトを進めるにあたり重要である、災害リスク軽減、土地利用計画、経済分析を含む、都市および地域計画を専門とする。ブリティッシュ・コロンビア大学にて都市・地域計画修士号取得。

 

Imageホヴハネス・カンジェルディアン
アルメニア共和国 非常事態省 救助庁 危機管理センター 所長

2015年、アルメニア共和国 非常事態省 救助事業部 危機管理センター 所長に就任。現職前は、2000年に同国政府 危機管理事業部門 シニア・オフィサーとして従事後、2001年に市民保護連隊長に就任。2002年から2007年は、非常事態省 危機管理部門 危機管理センター 副所長として従事。2007年から2011年までは、同省 アルメニア緊急救助事業管理部門 副部長を務める。アルメニア建築建設国立大学にて、高速道路および工学修士号取得。

 

Imageアザマット・マムベトブ
キルギス共和国 非常事態省 危機管理センター 副所長

キルギス共和国 非常事態省 危機管理センター 副所長であり、また、同省 大佐を務める。1999年、同国南部における武装集団の一掃を担う。2012年、シリアアラブ共和国で国連平和維持活動を実施。その申し分のないサービス、軍民連携、優秀軍事サービス、マナス軍における戦闘技術など、数々の功労賞を受賞。民間防衛、災害リスク軽減、土地利用計画を専門とする。ロシア連邦 緊急事態省 民間防衛大学校にて、災害管理博士号取得。

 

Imageムハマジョン・サリムゾダ
タジキスタン共和国 非常事態・国防委員会 副委員長

非常事態および民間防衛に関する豊富な経験を有する専門家であり、タジキスタン共和国 非常事態・民間防衛委員会 副委員長を務める。1995年に非常事態・民間防衛委員会 国営研修コースの会計士として勤務。後に同コースの上級講師となり、1999年に副部長に任命される。2003年、非常事態・民間防衛委員会 企画部 役員に就任。2003年から2007年にかけて、非常事態・民間防衛省 総務局 人口・研修・教育部門 部門長を務める。その後2008年まで、民間防衛参謀局 非軍事人口・報告義務課 事前準備・研修部門 部門長として従事。また、2005年から2015年は、タジキスタン首都のドゥシャンベ非常事態・民間防衛部 本部長を兼務。タジキスタン国立農業大学にて経済・経営学の高等教育学士号取得。また、ロシア連邦 民間防衛・非常事態省附属 民間防衛大学校終了、指揮、人員配置、および戦略・戦術研修専攻。

 

Image佐谷 説子
内閣府 政策統括官 (防災担当) 付 参事官 (普及啓発・連携担当)

2016年7月1日より現職。防災の普及啓発と国際協力を担当。地域レベルで作成する地区防災計画の策定・推進、災害ボランティアの活動促進、民間セクターとの連携、事業継続計画 (BCP) の推進等を担う。このほか、仙台防災枠組の実施に向けた日本政府交渉団を率いる。前職は、2012年4月から2016年6月まで、経済協力開発機構 (OECD) にて、行政ガバナンス・地域開発局持続可能な成長のための地域政策課長を務め、フランス・パリで、「レジリエント・シティ」、「都市における人口動態」、「リスク・ガバナンス」等の課題に関し、都市における持続可能な成長に向けた社会・経済分析等を行う。国土交通省住宅局住宅政策課住宅投資推進官、都市局都市政策課企画専門官等を歴任し、東日本大震災後の住宅再建に向けた支援等に従事。1993年、東京大学法学部卒。1998年、カリフォルニア大学 バークレー校 ビジネススクール修了。

 

Image金田 恵子
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 東京防災ハブ 防災専門官

防災専門官として、2014年より世界銀行東京防災ハブに勤務。「日本-世界銀行防災共同プログラム」を通し、国・地域別の技術支援プログラム、および日本の防災の知見を活用し開発途上国と共有するプログラムの形成や管理を行う。途上国において防災を主流化するため、世界銀行の地域ごとの防災チームとともに、多様なセクターとの連携案件形成を支援する。過去の災害復興事業従事の経験を踏まえ、2015年に壊滅的被害を被ったネパールやバヌアツにおける被害調査、ならびに世界銀行による復興プロジェクト形成に従事。世界銀行入行前は、国連開発計画事務局 (UNDP) および国連人間居住計画 (UN-Habitat) インドネシア事務所、国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) 南スーダン事務所、国際協力機構 (JICA) モンゴル事務所にて、約10年間にわたり、住宅再建を中心とした自然災害・紛争後の復興事業、事前対策、気候変動適応、都市開発などに携わる。京都工芸繊維大学大学院修士課程修了、工学修士。現在、京都大学大学院 工学研究科 建築学専攻にて博士後期課程履修中。

 

(講演順、敬称略)

セミナー概要

セミナー報告

 

世界銀行東京防災ハブは、ヨーロッパ・中央アジア地域で地震の多いアルメニア、キルギス、タジキスタンから視察団を受け入れ、地震に対するレジリエンスを高めるための防災政策・計画策定や、投資に関する日本の知見について面談や視察を通して紹介する機会を持ちました。第13回防災セミナーでは、同代表団の方々をスピーカーとしてお招きし、今回の滞在中に得られた知識や各国における課題について発表していただきました。

冒頭、竹内 航 世界銀行 社会・都市・農村開発・強靭性グローバルプラクティス ヨーロッパ・中央アジア地域担当 防災専門官より、繰り返し発生する自然災害に対する主要インフラの強靭性を向上させるために、地震リスク評価や防災関連組織の能力強化を含め、防災の様々な側面に関し、世界銀行が3カ国をどのように支援しているかを説明しました。

ホヴハネス・カンジェルディアン アルメニア共和国 非常事態省 救助庁 危機管理センター 所長から、アルメニアの地震リスク評価および国家防災プログラムについて紹介いただきました。また、今回の日本視察を踏まえ、避難場所に関する情報の周知、避難時の要援護者の事前把握など、今後の同国における防災能力強化に役立てたいと述べました。

アザマット・マムベトブ キルギス共和国 非常事態省 危機管理センター 副所長は、災害リスク削減に向けた災害警報システムの改善など、危機管理センターの能力強化の事例を紹介しました。また、日本の視察を踏まえ、国・地方政府など、様々なレベルでの防災活動に関する責任配分を今後進めたいという同国の構想について発表いただきました。

ムハマジョン・サリムゾダ タジキスタン共和国 非常事態・国防委員会 副委員長からは、タジキスタンが抱える災害リスクや、主要な交通や洪水防御インフラの復旧・強靭化のために世界銀行が提供している支援について紹介いただきました。日本の視察で印象的だったこととして、度重なる災害から常に学び続けるという日本の姿勢をあげ、帰国後、日本の「防災の日」に倣い、同様の日を設定するようタジキスタン政府に提案し、国民の防災の意識を高めたいと述べました。


イベント詳細
  • 日時: 2016年9月7日 (水) 午後4時30分~午後6時
  • 場所: 世界銀行東京事務所 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階
  • 言語: ロシア語・日本語 (同時通訳付)
  • お問合せ: 世界銀行東京防災ハブ TEL: 03-3597-1320
  • drmhubtokyo@worldbank.org

日本-世界銀行防災共同プログラム





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