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プレスリリース 2020年5月19日

世界銀行グループ: 100カ国の新型コロナウイルス感染症対応を支援

前例のない危機により、最大6,000万人が極度の貧困に陥る可能性

ワシントン、2020年5月19日—世界銀行グループは本日、新型コロナウイルス感染症への緊急対応支援の対象となる途上国が100カ国に達したことを発表した。被支援国の人口を合計すると、世界人口の70%に相当する。世界銀行グループは3月以降、過去最高水準の支援を途上国に迅速に提供しており、各国が貧困層・脆弱層を保護し、保健制度を強化し、民間セクターを支え、景気回復を促進できるよう支援している。今回の支援は、世界銀行グループが過去に実施した危機対応支援の中でも、最も大規模かつ迅速に展開されており、新型コロナウイルス感染症が保健医療や社会・経済にもたらす影響や先進国における経済活動の停止に途上国が対応できるよう今後15カ月間に最大1,600億ドルをグラントや財政的支援の形で提供するという世界銀行グループの計画にとっても一つの節目となる。

「新型コロナウイルス感染症の世界的流行と先進国における経済活動の停止により、最大6,000万人が極度の貧困に陥る可能性がある。これは近年に達成された貧困緩和の成果のほとんどを消し去るものだ。」と、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は述べる。「世界銀行グループは世界100カ国で緊急対応プロジェクトを迅速に、かつ断固として立ち上げ、他のドナーが支援活動を速やかに拡大できる仕組みを構築した。成長軌道に戻るためには、迅速かつ柔軟な対応によってこの保健危機に立ち向かい、現金給付や他の拡大可能な支援を通じて貧困層を守り、民間セクターを支え、経済の強靭性と景気回復を強化していかなければならない。」

100の被支援国の内、39カ国はサブサハラ・アフリカ地域の国々である。プロジェクトの3分の1近くはアフガニスタン、チャド、ハイチ、ニジェール等、紛争の影響を受けている脆弱国で実施されている。国際金融公社(IFC)と多数国間投資保証機関(MIGA)も、貿易金融や運転資金等の支援を途上国の企業に迅速に提供することにより、各国が民間セクターを支え、人々の雇用と生計を維持できるよう支援している。 

世界銀行がグラントや融資、持分投資の形で提供する支援は、世界銀行総務会で承認された二国間債務の返済猶予によって補完されている。IDA適格国は二国間債務の返済猶予を要請することにより、新型コロナウイルス感染症の拡大を食い止め、命を救うための重要な緊急対応に、より多くの資金を充当できるようになる。

「二国間債務の返済が猶予されれば、IDA借入国は新型コロナウイルス感染症への緊急対応に資金を振り向けられるようになる。」と、マルパス総裁は述べる。「各国は政府債務の透明性を大幅に強化する活動にも迅速に取り組まなければならない。これは各国の投資環境に対する信頼感を高め、健全な債務と投資を促進する助けとなる。」

世界銀行グループが展開する一連の支援プロジェクトは、途上国の保健制度を強化し、最貧困世帯を支援し、最も深刻な打撃を受ける人々が生計と雇用を維持できる環境を整備するものとなる。各国はこれらの支援をもとに、現金給付や雇用支援を通じて再貧困世帯を支え、食料安全保障、栄養、安全な水や教育といった必須サービスの提供を維持するほか、最も深刻な打撃を受ける可能性が高い女性や強制移動を余儀なくされたコミュニティを含む最脆弱層に焦点を合わせ、コミュニティが脆弱世帯の支援や社会の一体性の強化に注力できるよう支援する。途上国が今回の危機によりもたらされる悪影響を緩和し、回復の加速につながる人的資本への投資を優先する上で、世界銀行グループの対応の規模と速度はきわめて重要な役割を果たしている。

世界銀行グループが100カ国で実施している支援活動は、現地の人々の命を救い、生計を確保し、強靭性を強化し、回復を加速させるために、以下の施策を実施する。 

低所得国及び脆弱・紛争影響国における保健制度の強化、モニタリング及び予防。保健医療分野では、世界銀行グループは新型コロナウイルス感染症の封じ込めと緩和に対する緊急ニーズに対応している。重症患者の治療や救命活動のために保健制度を強化することは、その一例である。一部の脆弱・紛争影響国では感染者数が急増しており、特に優先的な支援が求められる。 

  • 実行額はセネガルでは2,000万ドル、ガーナでは3,500万ドルに達しており、疾病監視システム、公衆衛生研究所、感染を早期に検知するための疫学体制の強化などに資金が提供された。ハイチでは、検査の強化、感染者の接触者追跡による感染の最小化、医療従事者への実験装置や保護具の提供に対して、2,000万ドルのIDAグラントが承認された。

社会的保護の拡大:世界銀行グループは各国の既存の社会保護制度を利用して、世帯や企業が所得を回復し、生計を維持し、物価の上昇や予想外の医療費に対応できるよう支援している。こうしたセーフティネットの整備と並行して、市民に直接かつ安全に食料を配給し、栄養やソーシャルディスタンス、衛生に関する重要な情報を提供していかなければならない。 

  • ウズベキスタンでは、低所得世帯への現金給付や一度限りの失業手当等の原資として、9,500万ドルの支援パッケージが提供された。チュニジアでは中小企業向けに追加の社会給付・グラントを提供するために、既存のポートフォリオから1億ドルが再配分されている。 

企業支援と雇用の維持:国際金融公社(IFC)は引き続き、80億ドルのファストトラック融資ファシリティを通じて、企業が事業と雇用を維持できるよう支援している。すでに約300社が支援を要請しており、融資枠を上回る可能性がある。こうした取り組みと市場の需要を踏まえ、IFCは15カ月間に470億ドルを途上国に融資することを目指している。新型コロナウイルス感染症に関しては、IFCはグローバルサプライチェーンに参加している中小企業を支援するグローバル貿易金融プログラム(GTFP)の下で、33カ国の合計1,200件の取引に累計14億ドルをコミットしており、その51%が脆弱な状況にある低所得国におけるものである。 

医療機器と医療用品の調達:多くの途上国は、新型コロナウイルス感染症対策に必要な医療用品の大部分(一部の国ではすべて)を輸入に頼っており、供給の混乱や輸出制限の影響を非常に受けやすい。

  • パキスタンでは、すでにマスク、手袋、防護服、ガウン、カバーオール、靴カバー、ゴーグル、フェイスシールドなどを含む個人防護具(PPE)の第一便が医師や医療従事者に提供された。この支援は、貧困・脆弱世帯への2,500万ドルの緊急現金給付を含む、より大きなパッケージの一部を構成するものである。4月23日、世界銀行はフィリピンに対し、PPE、基本医薬品、検査キット、人工呼吸器、心拍モニター、携帯型X線機器等の重要な機器の調達資金として1億ドルの支援を承認した。イラクでは、必要不可欠な機器や物資を確保し、公立病院の集中治療室(ICU)の能力を強化するための資金として3,360万ドルが再配分された。

世界銀行グループは、関心を表明しているサプライヤーの特定や価格・条件交渉などを通じて、途上国が必要不可欠な物資や機器を入手できるよう支援している。


プレスリリース番号: 2020/193/EXC

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